跡を消す 特殊清掃専門会社デッドモーニング
前川ほまれ
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刊行日 2018/07/12 | 掲載終了日 2018/07/17
ハッシュタグ:#跡を消す #NetGalleyJP
内容紹介
気ままなフリーター生活を送る浅井航は、ひょんなことから飲み屋で知り合った笹川啓介の会社「デッドモーニング」で働くことになる。そこは、孤立死や自殺など、わけありの死に方をした人たちの部屋を片付ける、特殊清掃専門の会社だった。死者の痕跡がありありと残された現場に衝撃を受け、失敗続きの浅井だが、飄々としている雇い主の笹川も何かを抱えているようで――。
生きることの意味を真摯なまなざしで描き出す感動作!
おすすめコメント
孤立死した方の住まいを清掃・消毒して、原状回復する「特殊清掃業者」は、この5年間で15倍に増えているといいます。本書は、そんな特殊清掃専門会社で働くことになった今どきの若者が、死の痕跡がありありと残るシビアな現場を通して、「生とは何か」「人間関係の希薄なこの社会において、それでも誰かと共に生きていくとはどういうことか」を考えていきます。現代的で重いテーマをはらみつつ、個々の清掃現場ごとに描かれる悲喜こもごものドラマは痛快で、主人公の奮闘ぶりを思わず応援したくなります。多くの方に楽しんでいただける、爽やかな読後の感動作です。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784591159866 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
死後放置され、影になってしまった人々を清掃する特殊清掃という仕事。
特別な環境の特殊な人々の話ではないと思う。
私だって、誰だって、誰にも看取られず死んでしまうことはきっとある。
どのように死ぬかは本当は選べないのかもしれない。
朝と夜を繰り返しながら、生きて死ぬ。
朝日の中でも、真っ暗な闇の中でも、私たちは生きていく強さを持っている。
気がつくと、止めようもないくらいに引きこまれていました。
この本を読むまで特殊清掃がどういう類の清掃業であるのかすら知りませんでした。
それはつまり、孤立死や自殺など特殊な状況下で命を落とされた方の死後の現場の清掃を専門に行うこと。
近頃では孤立死や自殺なんて言葉を聞くことがよくあるけれど、そうした現場で死者の痕跡を消して、その場を元の日常に戻していたのは彼らのような業者だったということを知りました。
物語はクラゲのように将来の展望もなく漂うように生きる青年がひょんなことから特殊清掃という世界を知り、凄惨な現場に何度も背を向けそうになりながら「生と死」に触れることで成長していく。
人の死という重たい題材に加えて、清掃の描写もまた目をそらしたくなる様なまでのリアリティがあり、正直読めば読むほどに食欲が減退しそうになりました。
にもかかわらず、読書欲の方は減退するどころか俄然湧いてくるのだから不思議です。
最初から最後までまるで何かに引っ張られるかのようにぐいぐい読み進めました。
こんなに不快なのに結末まで読まずにはいられないくらいの面白さでした。
死について、そして生きる事について考えさせてくれる。
死はひとまとめにできない。
それぞれの死があり、残された人々の受け止め方がある。
物理的な死の跡を消しても、生きていた事は決して消えない。生きた記憶は周りの人の心の中に存在し続けると改めて感じられる。だからこそ、死は自分だけのものじゃない。
命を大切にしたいと強く思わせてくれる1冊。
孤独死、自殺、事故など訳ありな亡くなり方をされた方の家から死の痕跡を消す特殊清掃会社のお仕事。何かを抱えてそうな社長と、ひょんなことからそこで働く事になった若者が色々な死に触れることで人生が変わっていく。 孤独死が珍しくなくなった現在で、死後半月ほど経過と聞くと、部屋はいったいどういう状態になっていて、誰がどうするんだろうと思っていたところにこの作品。 五感をフルに使って読み、なかなか心揺さぶられるものがあった。 とてもよかった。
あまりに普通なことになりつつある、孤独死。
時々○○さん、お一人で亡くなってたんだって、などと話題になっては消えていく。誰にでも訪れる死だけど、そんな時その後の部屋のことなど、なんとなく心によぎるけれど、口を噤んでしまっているのも事実だ。
この小説は、死の痕跡を消す会社、特殊清掃と言われる作業をする笹川と、ひょんなことからそこで働くことになった浅川が、その壮絶な仕事を通して2人の人生が変わっていくさまを描いたものだ。
五感に訴えかける内容でもあり、さまざまなシーンに心が揺さぶられる。
ただ清掃していくのではなく、生き様を尊重し通過点である死を、踏みにじることなく昇華させていくようにも感じる。
決して美しいだけの小説ではないけれど、読後の清涼感は、清々しく、浅川と一緒に空を眺めているような気分になる一冊。
死後の後片付けを請け負う、特殊清掃会社を舞台にした小説。主に現場で立ち働くのは、社長の笹川と新人の浅井。
滞留する死者の思念と残滓に向き合い、誠心誠意でもって部屋を明け渡す事を使命としている。
依頼人の立場が様々な観点から描かれ、戸惑う若き浅井の乏しい思慮を浮き彫りにしながら、彼なりの弔いを染め抜いていく。
また脇を固める仲間らの存在が、大きなウエイトとなっているのも物語の読みどころだ。
そうか、デッドモーニングに込められた意味は、そういうことだったのか・・・フリーの浅井は、故郷で祖母の葬儀を終えて、東京に戻った夜、偶々立ち寄った小料理屋で、喪服を着た笹川と出会う。その後、笹川の特殊清掃会社でアルバイトすることに・・・5章が、連作短編構成で、それぞれ訪れた死者の部屋清掃ストーリーとなっている。第4章で、笹川の過去を匂わせ、最終章で、浅井は、この社長の心の闇に行き着き、この闇から救いたいと思い始める・・・・死とは一体何なのか?、死の後、残された人間は、どう受け止めたら良いのか?考えさせられるストーリーでした。廃棄物運搬車運転手の楓ちゃんが良いキャラで、アクセントを創っていました!
孤独死や自死、殺人現場などの部屋の清掃するを会社、「特殊清掃専門会社」で仕事をすることになったフリーターの浅井。年齢に関係なく訪れるそれぞれの死、残されたものの生について考えることになる。
社長である笹川は、何があってこの仕事をしているのか、怒ってばかりのおじいさんは本当は何が辛いのか、母子で食べた最後のケーキは甘かったのかどうか。浅井はそれをどう受け止めて成長するのか。
亡くなった方の残した「跡を消す」仕事とは、綺麗事じゃなかった。でも、生きた跡を消して終わりではなく、残った者が次へ進む一歩になっていた。
孤独死、自殺、無理心中。凄惨な死の現場を跡形も無く掃除する仕事。最初は逃げ腰だった主人公も、死を敬い、死の間際、人は何を思い、この世に未練は無かったのかを考えるようになる。そして、共に仕事をする社長の陰にも挑んでいく。漂う重い空気と、食欲も失せる様なリアルな描写でありながら、本を閉じることはなかった。
孤独死、自殺、事故死、無理心中。様々な理由で死を迎えた人が最後に残した物質的な跡を消す、特殊清掃会社デッドモーニング。こんなに凄まじい仕事があるんですね。クラゲのようだった主人公が少しづつ成長していく姿、遺族に故人の想いが届いた時、明るい朝を迎えられた笹川に涙が。これがデビュー作とは驚きです。