雲と鉛筆
吉田篤弘
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2018/06/05 | 掲載終了日 2018/07/05
ハッシュタグ:#雲と鉛筆#ちくまプリマー新書#吉田篤弘#クラフト・エヴィング商會 #NetGalleyJP
内容紹介
ぼくは、屋根裏の部屋に住み、鉛筆工場で働いている。大きなものが書かれた小さな本を読み、雲を眺め人生について考える。そんなある日旅立ちの時が来た。
ぼくは、屋根裏の部屋に住み、鉛筆工場で働いている。大きなものが書かれた小さな本を読み、雲を眺め人生について考える。そんなある日旅立ちの時が来た。
おすすめコメント
2005年1月に創刊しました「ちくまプリマー新書」は本書『雲と鉛筆』で300点を突破いたしました。
「ちくまプリマー新書」は「プリマー=入門書」という名にふさわしく、一般の教養新書と比べ、よりベーシックで普遍的なテーマについて、若い読者の人たちにもわかりやすい表現を用い、学校でも家庭でも学べない大事なことを「近所のおじさん、おばさん」のような立場から、わかりやすくまっすぐに伝えています。
6月中旬より全国の書店さんで300点突破を記念して「ちくまプリマー新書フェア」も開催いたします。今後とも「ちくまプリマー新書」をどうぞよろしくお願いいたします。
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784480683250 |
本体価格 | ¥680 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
子どもの時に出会ったなら「よく分からないけれどなんだか好きだ」そう思って、大切に本棚に戻しただろう。
大人になった私は「子どもの時のわたしに読ませてあげたいな」と、なんだか思う。
子どもだったから、うまく言葉にできなかったこと。大人になって忘れ去ってしまったこと。
子どもと大人の狭間にある、キラキラした宝物のかけら。
「久しぶり、もう忘れないよ」この気持ちをいつまでも抱きしめていたい。
経験したことのない種類の感動を覚えた。似たような本というのはなかなか思いつかない。日常の切り取りのようでも、ファンタジーのようでもある。大人向けのようでも、子ども向けのようでもあった。何年かごとに読めば、その時ごとに得られる感覚が違うと思う。豊かな時間が過ごせた。
世の中からこぼれ落ちて、誰の目にも留まらず忘れられようとしている物語をそっと拾い上げる。なんの意味もなさそうに見える(見る人が見れば)ガラクタに名前をつけてタグをそえる。
吉田さんの作品は、そうした小さなものに目を向ける愛おしさを教えてくれる。
雲を見るたびに吉田さんを思い出し、鉛筆を手にするたびに「ぼく」を思って擽ったくなるだろう。
可愛らしい挿し絵も吉田さんの描かれたものだったのか。鉛筆工場に務め、HBの鉛筆を担当している主人公、僕のゆるゆるとした生活や回りの人達。浮世離れしてるけどどこか身近に感じられる吉田さんの不思議な世界が好きです。
この本のあとがきを読み、ちくまプリマー新書に興味を持った。
この本の内容紹介を読んだ時、内容がさっぱり分からなくて何だろうと思いながら読みました。読んでいるうちにだんだんこの本が宝物のように思えて来ました。とても良かったです。
そこはどこだろう?
「僕」が住む町を思い浮かべてみた。
時計塔がある。鉛筆工場があって僕はそこで働いている。
郵便局の裏手には川があり、その先にはもっと大きな川もある。
そこで暮らしているのは僕や友人の人生、理容師のバリカン、苦いお茶を売るアクビさん、セールスマンのジュットク。
「コーヒーが飲める店」は全国展開しているような有名店なんかじゃなくてこじんまりとした個人で営むお店なんじゃないのかな。
お花屋さんも本屋さんも個人店だ、きっと。
川のことが頻繁に出てくるから運河なんかもあったらすてきだろう。
建物は全体的に古くさくて煉瓦の壁なんかは所々崩れている。階段の多い町。
じめっとしていて、夜になると靄がかかる日もある。小雨の似合う町。
途中までは本当のあらすじ。後半の部分はそんなことはどこにも書いてない。
だけど、私にはそんな世界がみえてきた。
ページをめくればめくるほどに、物語の世界が自分勝手に広がっていった。
それは現実とは離れた少し奇妙でぐるぐると廻り続ける不思議な世界で、私はずっと眺めていたいと思った。
楽しくて優しいこの世界にずっとふわふわと漂っていたいと思える物語だった。雲と鉛筆が好きなぼくは、きっと吉田篤弘さんの分身なのだろう。雲を描いた装丁も素敵な一冊。