公共図書館の冒険

未来につながるヒストリー

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刊行日 2018/04/17 | 掲載終了日 2018/06/25

ハッシュタグ:#公共図書館の冒険 #NetGalleyJP


内容紹介

今とは違う、別の公共図書館がありえたのではないか、それが本書を生み出す母体となった研究会メンバーの共通の思いだった。近代公共図書館が欧米で成立してからまだ200年もたっていない。我が国においてある程度普及してきたのは100年程度の話だ。一般の人々や図書館関係者の間で公共図書館像の揺らぎがあっても何の不思議もない。近年の指定管理者問題や無料貸本屋論争を見ていると、そもそも公共図書館という制度は日本に根づいているのだろうか、という疑問もわいてくる。その一方で、書店や出版をテーマとする本と並んで、図書館に関する本が次々と出版されている。そこにはさまざまな背景を持つ人々の図書館に対する期待や不満、理想が込められているのだろう。残念ながらそれに対して、図書館界から、これからの新しい公共図書館像が提示されているようには思えないのである。そして、私たちが、その解決のヒントを得ようとしたのが、我が国の公共図書館史をもう一度見直してみることだった。そこに別の可能性、別の見方があったのではないだろうか。
(「まえがき」より)

〈歴史から見直す〉〈図書館ではどんな本が読めて、そして読めなかったのか〉〈本が書架に並ぶまで〉〈図書館界と出版業界のあいだ〉〈図書館で働く人々――イメージ・現実・未来〉〈貸出カウンターの内と外――オルタナティブな時空間〉〈何をしたかったのか、何ができるのか〉の全7章。


編者・執筆者紹介
柳 与志夫(やなぎ・よしお) 1954 年生まれ.東京大学情報学環特任教授.著書『文化情報資源と図書館経営──新たな政策論をめざして』(勁草書房,2015 年)ほか.


田村俊作(たむら・しゅんさく) 1949 年生まれ.慶應義塾大学名誉教授(図書館情報学).共編著『公共図書館の論点整理』(勁草書房,2008 年)ほか.


小林昌樹(こばやし・まさき) 1967 年生まれ.国立国会図書館.著書『雑誌新聞発行部数事典──昭和戦前期 附. 発禁本部数総覧』(金沢文圃閣,2011 年)ほか.


鈴木宏宗(すずき・ひろむね) 1970 年生まれ.国立国会図書館.「帝国図書館長松本喜一について」(日本図書館文化史研究会編『図書館人物伝──図書館を育てた20 人の功績と生涯』日外アソシエーツ,2007 年,所収)ほか.


柴野京子(しばの・きょうこ) 上智大学文学部新聞学科准教授.著書『書棚と平台──出版流通というメディア』(弘文堂,2009 年)ほか.


河合将彦(かわい・まさひこ) 1978 年生まれ.国立国会図書館.「「男性図書館員」の肖像」(国立国会図書館カレントアウェアネス No. 298)ほか.


安井一徳(やすい・かずのり) 1982 年生まれ.国立国会図書館.「コレクションとは」(日本図書館情報学会研究委員会編『情報の評価とコレクション形成』勉誠出版,2015 年,所収)ほか.


小田光宏(おだ・みつひろ) 1957 年生まれ.青山学院大学教育人間科学部教授.「社会教育施設の管理運営に関する諸問題」(鈴木眞理ほか編著『社会教育の施設論』学文社,2015 年,所収)ほか.


今とは違う、別の公共図書館がありえたのではないか、それが本書を生み出す母体となった研究会メンバーの共通の思いだった。近代公共図書館が欧米で成立してからまだ200年もたっていない。我が国においてある程度普及してきたのは100年程度の話だ。一般の人々や図書館関係者の間で公共図書館像の揺らぎがあっても何の不思議もない。近年の指定管理者問題や無料貸本屋論争を見ていると、そもそも公共図書館という制度は日本に...


出版社からの備考・コメント

四六判328頁
C0000

四六判328頁
C0000


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784622086826
本体価格 ¥3,500 (JPY)

関連リンク


NetGalley会員レビュー

公共図書館。
さまざまな資料を、無料で、どんな人でも読めるのは図書館の大きな特徴であり、利点である。
一方で、ベストセラーを数多く所蔵し、本にお金を使いたくない人のための「無料貸本屋」になっているという批判もある。

公共図書館はどうして今のような形になったのだろう?
もしもっとよい「ほかの形」があるとしたらどんなものだろう?

図書館の歴史を語る本は多くあるが、本書の特色は、時系列をただ追うだけでなく、「どんな本が読めたのか」「図書館で働く人々」「本が書架に並ぶまで」といったトピックごとに整理・考察することにより、図書館の成り立ちの背景をより深く知れることにある。
図書館で働く人々にはもちろんだろうが、利用者の立場から読んでも目から鱗でおもしろい。
特に、いわゆるベストセラーが置かれるようになったのはごく最近のことであるとか、一昔前に学生の「自習室」替わりとなっていた閲覧室使用の変遷などといった話はとても興味深い。

公共図書館の役割は、「貸出」と「レファレンス(参考調査)」に大別されるという。
こうした役割がよりよい形で提供されるために、困難を乗り越えつつ、図書館はさらに進んでいくのだろう。
そんな来し方・行く末を考える興味深い1冊である。

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