新選組の料理人

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刊行日 2018/05/16 | 掲載終了日 2018/05/16

ハッシュタグ:#新選組の料理人 #NetGalleyJP


内容紹介

尊王攘夷の嵐渦巻く京都市中の警察組織として、志士たちに恐れられていた新選組。隊士の規律も厳しく、切腹を命じられる者も数多い。菅沼鉢四郎は蛤御門の変の折に発した大火に家を焼かれ、妻子とはぐれた浪人被災者だったが、ふとしたきっかけで賄い方として新選組に入隊することになる。剣の腕はからきしで、体力も覚悟も持たぬ鉢四郎だが、味を見極める舌、食材を調理する知識と腕には、確かなものがあった。時代の急激な変化のなか、警察隊から幕府軍に脱皮しようとする新選組を、鉢四郎は文字通り台所事情の側から眺めることになる……。理想と義に殉じようとする性急な熱情から、ふと我に返ったとき、新選組の若き隊士たちは、何を思うのか。転換期を生きた若者たちの息づかいを鮮やかに描き出した、達意の直木賞受賞第一作。

尊王攘夷の嵐渦巻く京都市中の警察組織として、志士たちに恐れられていた新選組。隊士の規律も厳しく、切腹を命じられる者も数多い。菅沼鉢四郎は蛤御門の変の折に発した大火に家を焼かれ、妻子とはぐれた浪人被災者だったが、ふとしたきっかけで賄い方として新選組に入隊することになる。剣の腕はからきしで、体力も覚悟も持たぬ鉢四郎だが、味を見極める舌、食材を調理する知識と腕には、確かなものがあった。時代の急激な変化の...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784334912222
本体価格

NetGalley会員レビュー

時は風雲急を告げる幕末の、場所は京都。
この設定だけでもワクワクするのに、主人公はその腕を見込まれて新選組に入隊するという。
しかもそれはなんと料理の腕によるものだ。
読者の私たちとも、新選組の隊士達とも少し異なる目線で進む主人公と、お馴染み原田左之助を始めとした新選組の面々。
それらを描き出す筆者の描写力と、説得力に、ひさびさに時代小説ならではの愉しさを味わった。
こんな気持ちは、司馬遼太郎氏の小説以来である。

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蛤御門の変での大火で家を失い、妻子ともはぐれた浪人・菅沼鉢四郎が、(素人ではあるが)料理の腕を見込まれ、賄い方として新撰組に入隊する話。
鉢四郎は度胸も根性もない上、剣の腕もからきしなので、「新撰組といえば」なドンパチとは無縁。むしろ斬り合いを見て漏らしちゃうくらい、情けない男!
でもだからこそ、強い新撰組から一歩も二歩も引いたところにいる分、ある種の余裕を持って一般人目線から新撰組の趨勢が描かれていて、すごく新鮮だった。

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常識も背景も今とは違う、歴史の中のこと。その舞台にあっても難しく引っ掛かりを覚えることもなく、すんなり自分の中に、物語が染み込んでくる。
家族への思い。進む道への迷い。現代人の私たちと同じ感情は、当たり前だけれど彼らも持っていたのだということを感じられた。

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料理が物語のキーワードとなって、新選組、そして変革しようとしている世の中が見つめられている。時代物なのに読みやすく、且つ当時の雰囲気も壊さない、絶妙な文章。作品の端々に出てくる料理が、豪華ではなくともとても美味しそうで、物語が味わい豊か。

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ぐんぐん読める!どんどん話が展開していく快感をあじわった。
気がつけば最後のページ。
妻と子供の為に新撰組に入ったのにその妻に捨てられた少し情けなかった男は、こういう生きざまを選ぶのか。

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新撰組の賄い方という内部の人間であって、第三者の目線ももつ菅沼鉢四郎という男を主人公に据えた新撰組の物語。ただただ固い絆で結ばれ熱く闘う男たちというわけでなく、時代の流れをあくまで冷静な鉢四郎の目で解隊までを追っていく展開はまるで史実を読んでいるようで新鮮な面白さでした。

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舞台は幕末の京都。ひょんなことから賄い方!として新選組の一員になった鉢四郎の視点からお馴染みの近藤勇や原田左之助が描かれる。
キツネとタヌキの化かし合いの如きやり取りや命懸けの振る舞いやらが史実を交えて展開していく様は、あまり幕末に詳しくない私にもなかなかに痛快でした。
妻子に逃げられた鉢四郎と、家庭を持ち子が生まれた左之助の考えが逆転していくような変化が印象的です。

幕末をよく分かっている人が読むともっと楽しめるのではないでしょうか。

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タイトルを見て「武士の家計簿」とか「天皇の料理番」のような話かと思ったけど料理はあんまり関係なかったな。あるきっかけで新撰組に入ることになった男の視点で見ると今までの新撰組のイメージが変わった。だんだん幕府の旗色が悪くなっていくにつれて新撰組の格好悪さが際立ちひとりの父の姿が浮かび上がってきた。これが史実を知るってことかとちゃんと歴史を知らないとなぁと改めて感じました。

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幹部隊士の原田左之助と、左之助がスカウトして新選組に賄い方として入隊した菅沼鉢四郎、主に2人の視点からの新選組を描いている。ややこしい幕末の情勢を新選組側から判りやすく解説っぽくならずに読ませる力量は流石だと思う。剣はからっきしダメな鉢四郎というキャラを主役のひとりに据えたことは新鮮だったけど、反面『料理人』というタイトルの割には料理の描写が少なかったのが残念でした。3作読んだ門井作品の中では、今作が一番面白かった。

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門井さんの直木賞後第1作目。新選組の料理人、というと、剣術等が出てくる時代小説を感じましたが、
こちらは史実に基づいた内容で、その後の話も組み込まれていたりと、一風変わった作品でした。
武士としての心構えがない彼だからこそ、彼からみた隊士の姿は一層人間らしく、登場人物も人間味があり、感情が溢れる作品でした。
料理はあまり出て来ませんが
新選組の小説は多くありますが、新しい切り口で、新選組の魅力を伝える一冊だと思います。

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新撰組自体にはあまり関心がなくむしろ苦手なほうなのですが、料理人の視点、という斬新な設定でとても興味深く読み終えました。文章も読みやすく出てくる料理も美味しそうで、とても面白かったです。

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隊士であって戦闘要員ではないという絶妙な距離から流れ行く新選組の運命を見つめる。その視点が新鮮。
家庭を得たことで新選組隊士として重要な非情さを喪いつつある原田。変容する己への不安と焦り、妻子への愛情と生きることへの執着。それを側で見つめる主人公が、自分にも妻子を愛した過去がありながら、人としての情愛より隊士としての志を重視するのが興味深い。

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