みすず書房2018年5月の新刊お試し読みセット
小堀鷗一郎/パウル・クレー/ジェームズ・フランクリン/デビッド・バーチ
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刊行日 2018/05/02 | 掲載終了日 2018/05/01
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内容紹介
みすず書房の2018年5月刊行予定の新刊から
以下の4点のゲラをダイジェストでご紹介する冊子です。
(本冊子へのリクエスト受付は今年5月1日までの期間限定とさせていただきます。)
各書目の特徴がよくわかる内容となっています。
ぜひ選書等にご活用下さい。
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小堀鷗一郎
『死を生きた人びと――訪問診療医と355人の患者』
5月2日刊行予定 予価本体2,400円 四六判
総184頁(試し読みセットに39頁分掲載)
ISBN 978-4-622-08690-1 C0036
350人以上を看取った往診医が語る、さまざまな死の記録。延命のみに長けた現代社会で、患者たちが望み、模索し続けた最期とは。
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パウル・クレー W・ケルステン編 高橋文子訳
『クレーの日記』
5月9日刊行予定 予価本体7,200円 菊判函入
総568頁(試し読みセットに51頁分掲載)
ISBN 978-4-622-08661-1 C1070
クレーが自己省察のためにつけていた日記ノート4冊を新校訂により一巻に編集。心の声が綴られた濃密な記録。葛西薫造本による新装で。
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ジェームズ・フランクリン 南條郁子訳
『「蓋然性」の探求――古代の推論術から確率論の誕生まで』
5月17日刊行予定、予価本体6,300円 四六判
総712頁(試し読みセットに52頁分掲載)
ISBN 978-4-622-08687-1 C0041
確率論の登場以前の2000年以上にわたる「蓋然性(probability)」の歴史をこの一冊で総ざらい。確率の前史を塗り替える書。
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デビッド・バーチ 松本裕訳
『ビットコインはチグリス川を漂う――マネーテクノロジーの未来史』
5月17日刊行予定 予価本体3,400円 四六判
総344頁(試し読みセットに47頁分掲載)
ISBN 978-4-622-08694-9 C0033
人が理解するマネーから、人を理解するマネーへ。マネーの誕生から現在までをたどり、ビットコイン後のマネー像を描きだす。
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出版情報
ISBN | 2018050000001 |
本体価格 | |
NetGalley会員レビュー
以下に続く文章は、4冊分をちょっとずつ「お試し読み」をした結果による個人的な感想である。
あくまで各書籍の「全体」は拝読していないため、各書籍の「核」を正しく評しているかは、私としても疑問が残るところではある。
恐縮ではあるが、その点を差し引きながら参考にしていただきたい次第である。
『死を生きた人びと――訪問診療医と355人の患者』(小堀鷗一郎著)
このような本をよくぞ刊行してくれた!と思える1冊。
近年「死」の概念やその扱い方が医学の進歩によって大きく変わってきたが、その結果、「死」を目の前にした当事者の持つ願いと、その当事者に近しい人々が持つ考えとの間に横たわる溝がだんだんと深くなりつつあるのではないか、と思われる。
本書は、その溝をよく見せていると思う。著者自身が「医師」であるからこそ見えた「リアル」が、よく出ている。そして、「溝」が生まれる今日の社会システムや問題点も、見事に浮き彫りにされている。
高齢化社会が進む現代の日本において、本書が必読書であることは言うまでもない。
『クレーの日記』(パウル・クレー著 W・ケルステン編 高橋文子訳)
どのような芸術研究においても書簡や日記は無視できない、ということは自明である。今日までの間、パウル・クレーの作品研究は進んでいるものの、その研究に有益である「日記」を取りまとめた書物は、日本において十分に刊行されているとは言えない。
この度、2009年に刊行され絶版となったクレーの日記を新校訂の上刊行されたことは大変に喜ばしい。これを契機に、クレーに関する研究が一層進むことを願うばかりである。
『「蓋然性」の探求――古代の推論術から確率論の誕生まで』(ジェームズ・フランクリン著 南條郁子訳)
「蓋然性」、そうそう日常で使う言葉ではない。だからと言って本書を手に取らないのは損だ、と私は思う。
平たく言うなら本書は、「もしかして」「おそらく」という考え方が、人類史上どのように扱われ、研究されてきたか、を説明していると思われる。
著者フランクリンは数学(統計学)が専門である。これまで刊行された「蓋然性」に関する本は、数学の観点からか、あるいは哲学の観点から、いずれか一方より語られたものが多数である。対して本書は、その両方から執筆され、かつ人類史上に現れる「蓋然性」の要素を網羅しながら構成されている。
加えて、「文献案内」は統計学を学ぶ者だけでなく、「蓋然性」に興味を持つ人全員が見ると良いであろう。それくらい、このまとめは有益である。「原註」も同様に有益だ。どれだけのエビデンスを持って執筆されたかが見て取れる。
日常の「もしかして」を小難しく考えるのは嫌いだ、という人には本書をお勧めしないが、「もしかして」という考え方がどのようなメカニズムなのかと少しでも興味を抱くなら、本書を読んでみるべきだ。
『ビットコインはチグリス川を漂う――マネーテクノロジーの未来史』(デビッド・バーチ著 松本裕訳)
私は経済学に興味が無いため深くは理解できなかったが、「お金」の進化を歴史的に辿りながらこの先の「お金」のあり方の未来を探る1冊となっている。ビギナーだと一読で理解することは厳しいものの、貨幣制度の歴史的経緯と現代の制度設計についてある程度理解している人にとっては興味深い本であろう、と予測される。
最後に申し添えておくが、いずれも良書である。今回もまたみすず書房は良書ばかり揃えて、私たちの財布を溶かさんとしている。
そもそも本出版社は、私が「チューインガム」と称する(1度読んだらもういいやとなるような)娯楽本をほとんど出さず、「知識を得たい」と願う人々に向けた、芯の通ったガチ本ばかり刊行するように見える。
「チューインガム」が好きな人にこの出版社の本は勧めないが、考えることが好きな人はぜひみすず書房からの既刊本も見てほしい。「考える」「研究する」人たちを大いに助ける出版社だと気づくはずだ。
今後も目が離せず、期待大の出版社である。