本のエンドロール
安藤祐介
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刊行日 2018/03/06 | 掲載終了日 2018/04/24
ハッシュタグ:#本のエンドロール #NetGalleyJP
内容紹介
彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に、本がある限り。
第一章 『スロウスタート』
――早く刷れ!
第二章 『長篠の風』 ――美しく刷れ!
第三章『ペーパーバック・ライター』―― 安く刷れ!
第四章『サイバー・ドラッグ』
――電子も作れ!
第五章『本の宝箱』 ――本を作れ!
彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に、本がある限り。
第一章 『スロウスタート』
――早く刷れ!
第二章 『長篠の風』 ――美しく刷れ!
第三章『ペーパーバック・ライター』―― 安く刷れ!
第四章『サイバー・ドラッグ』
――電子も作れ!
第五章『本の宝箱』 ――本を作れ!
出版社からの備考・コメント
※EPUBファイルにつき、Kindleでもご利用頂けます
おすすめコメント
本を愛するすべての人に届けたい、奥付には載らない、本の裏方たちの物語です。普段はスポットライトの当たらない印刷会社の営業、印刷工場の機長、DTPオペレーターなどを主役に据えて、校了から搬入前までを舞台に据えたお仕事小説です。
紙の本はなくなってしまうのか? 斜陽産業で働く人々は無能なのか、思考停止しているのか? などといった出版業界が抱える不安にも切り込みます。
某印刷会社の全面協力のもと、2年半かけて原稿をつくりました。
私たちが愛する本の物語です。
どうかみなさまのお知恵をお借りして、ひとりでも多くの人に読んでいただきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。
出版情報
ISBN | 9784062209885 |
本体価格 | |
NetGalley会員レビュー
文芸単行本の印刷工場奮闘物語でした!豊澄印刷・営業の浦本を主人公に、作家・出版社・販売卸売問屋・装丁デザイナー・印刷営業・印刷職人など一冊の文芸単行本製作にかける熱い思い、販売に至るまでの奮闘が伝わってきた。・・・出版社慶談社(講談社?)や文友館(光文社?小学館?)や卸売問屋テイハン(トーハン?)などなどユニークなネイミングで登場して来て、作家-装丁デザイナー-出版社-印刷会社-販売卸売-書店のそれぞれの仕事上の立場や思いが良くわかった!
仕事って、1人の頑張りだけじゃ進まないけど、1人の持つ雰囲気とパワーが周りに影響を与えて、形になっていくってことはある。主人公は、印刷会社の営業。仕事の基本はホウレンソウ!と少しイライラしながらも、いつのまにか主人公に伴走している私に気づく。
そして何より一冊の本を造る熱い気持ちの結集。
本好きはきっと、本造りの想いが込められて書店に並ぶ本からの熱を感じて、手に取ってしまう経験がある事だろう。
この本は、本の本であり、本を通した人たちの生き様をインクの香りや紙の手触りとともに楽しむのが、正しい読み方なのかもしれない一冊。
毎日大量に届く新刊の中で、手に取ってみて「あ、これは!」と思うものがある。中を読まなくても、知らない著者でも、なぜだかそう確信できる本。「これは絶対にいい本。頑張って売らなければ!」
きっとそれは、この本に登場してくるような人たちがみんなそう信じて、仕事をしてきたからだと思う。作家、編集者、装丁家、校正者、そして印刷に携わる職人さんたち、取次業者、運送会社・・・そして読者に届ける、末端の書店員。「必要としている人の手に、ちゃんと届けるため」に、そのことに喜びを感じる、自分のために。本が出来上がったとき、そのエンドロールである奥付には書店員の名前はないけれど、そうやってたくさんの想いを込めて作られた本は、最後までちゃんと読者のもとに届けよう、そう思った。
現在海外在住のため、ここ数年は電子書籍をかなり活用していると思う。雑誌、漫画は電子書籍で読むことが多い。ですが文芸本は、あまり購入することはない。まず第一に、文芸本は文字がたくさんあるので電子書籍で読むと目がちかちかする。長時間の読書になるので頭が痛くなる。そして、やはり気に入った小説はどうしても手元に置いておきたい。これが一番の理由かな。
この本を読んで、本がどのように作られているかを知ることができた。装丁に関しても、やはり単行本などを購入する際は、装丁がとても気になる。印刷会社さんや、編集さんや、装丁デザイナーさん、そして作家さんの努力やこだわりによってつくられていることが分かった。
私は一時帰国の際、多くの本は古本で買ったりしている。特に文庫本。海外在住で一気に本が欲しいという風になると、財布が厳しかったりする。そして本屋にあまり行けないので手に取ってみることができない。
が、今回この本を読んで、こういったたくさんの本に携わっている人たちにもっと貢献したいなと考えるようになった。
私は文庫より文芸書を好んで読む。文芸書は作家と編集者、そして装丁家が作り上げた物語がこの世に生まれでた瞬間という気がするからだ。
しかし、この作品を読んで自分が印刷会社の存在を忘れていたことに気付いた。紙の本は印刷会社でこんなにもたくさんの人に手をかけてもらってはじめてこの世に生まれ出てくるのかと思うと、やはり紙の本はいいなあと感じずにはいられない。
主人公が情熱的だけれど抜けているところが少なくなく、読んでいて幾度かイラッとさせられたのだが、読み終わってみると逆に現実感があってよかったような気がしている。
まさに今の物語である。1冊の本が読者に届くまでどれだけの人間がかかわっているのか、改めて気づかされた。
きっと物語は世の中に必要で、その物語が生まれるにはたくさんの人間がかかわっているのだ。
仕事柄、奥付はいつも目にしているけれど、奥付の向こうにこんなにもたくさんのひとの熱い思いが込められているんだと改めて気づかされた。
やっぱり私は紙の本が大好きだ!
ぜひ世の中の読書家さんたちにも知って欲しい。声を大にしておすすめしたい作品。
本好きには是非とも呼んでほしい一冊。
読み終わった人はこれからの本を読み終えた時には奥付も確認するようになるの間違いなし!
また、「仕事とは」にも物語を通して考えることができ、就職活動中の学生はもちろん、社会人になって自分の仕事について迷っていることがある人にもオススメ。
読み終わって改めて本を手にした時、その感じ方は変わっているはず。
私たちが手にしているものは、大量生産された中の無機質な1冊の本ではない。多くの人々の努力や葛藤や希望が詰められ、職人技で仕上げられる。それは手作りの様な温もりを感じる。
そして、何の為に働くのか。
この本に登場する人々の様に、生活の為だけでなく自分の為に働けたらいいなぁ。
本がつくられるまでの裏側を知れると共に、働く事の意味を改めて考えさせてくれる1冊。
「紙にしかできないこと」だけじゃなく、電子だから可能な場合もあるという柔らかな考えを持ちたいと思うのですが、やはり紙の手触りや「モノ」としての圧倒的な存在感にはかなわない。でも、どちらにも欠かせないのは熱意と技能を伴った本造りの裏方。著者の手を離れたあと、本になる過程が丁寧に描かれています。紙の重さと責任の重みをエンドロールに感じました。
一冊の本が出来上がるまでに、どれだけの人が携わっているか、どれだけ大変なことの連続かが描かれてます。無茶を言う編集者、仕様を急に変更する装幀家、意のままにならない紙、工場や製本所のスケジュール。そんな不確かな諸々をひとつひとつ手違いなく終わらせていく、印刷会社の営業マンから見た本作り。最後に完成した本は、なんと!輝いて見えることでしょう。紙の本をもっと愛おしくなります。
もう、本好きが本好きのために書いたんでしょ。これは。書籍愛が止まない人は要注意!!さらに症状が悪化します(笑)
そうじゃない人は読めば書籍愛が芽生えます。仕事で日々顧客に振り回されている人は「畑は違っても育ててる野菜は同じ!!」って感じで、やっぱり共感間違いなしです。
毎日手にしている本。手触り、文字の大きさ、装丁。特に文芸書はその違いが如実に出るもので、本の内容よりもそれらに惹かれて手に取ることもしばしばです。作者や編集、出来上がった本を売る取次や書店のことはいくらか目にしたり本を読んだりしてきましたが、このような紙や色、デザインを一つ一つ拘り抜いて本というものに仕上げる過程は今回初めて知りました。この本に出会ったことで、私もこれからは奥付をよく見て、その本ができるまでの過程を思い浮かべ、紙の本が更に愛おしくなると思います。電子書籍との棲み分けも話題になりましたが、それに関して彼らなりに出した結論もとても素敵でした。読書家にはぜひ触れてほしい作品です。
本作りのお仕事を主に印刷会社の営業マンの視点で描いたお仕事小説。出版社や書店からの視点はよくあるので新鮮な気持ちで楽しめた。こんなにたくさんの本好きな人たちの熱い思いで1冊の本が世に出てるんだなというのが改めてよく分かる。本を印刷している所を見学できるってすごくワクワクするなあ。何度も胸が熱くなりながら読み終え、最後の最後…一覧を見たときブワッと心揺さぶられ号泣!!
作家やライターのなかでも、印刷現場を知る人は意外に少ない。出張校正で訪れることはあっても、現場の担当者と会うことは稀。それだけに著者が描く印刷会社の営業や印刷・製本会社の現場は新鮮なのだが、年間8万点を超える書籍の1冊1冊が、こうして印刷会社の営業や現場の職人さんなどの手を経て送り出されていることを、いまさらながら驚きとともに再確認した。主人公は、「印刷会社はメーカーである」と言う。電子化が進行し、年々右肩下がりの印刷業界で、物を造り出すことに誇りと信念を持って取り組む現場と、それを支える営業。ここにもさまざまな人生ドラマがある。何かの形で本に係る人なら、きっと興味深い小説だが、異なる業界の人でも、本書に登場する人々の誰かに、きっと感情を揺さぶられることは間違いない。
正直なところ、本を読むのは大好きだけど奥付なんて意識して見たことはありませんでした。でも、一冊の本が書店に並ぶまで、こんなにも沢山の人がいるということを改めて気付かされ、今度からは奥付も映画のエンドロールのようにきちんと見てみようと思いました。『印刷会社はメーカー』と理想を追求する浦本と共に、トラブルを乗り越え本ができていく過程を読むことができ楽しい読書時間となりました。
本の「裏方」たちにスポットライトを当てた物語。
いろいろと胸がざわめき痛くなる。
たくさんの人々が本製作の裏で働いていて、でもその労力に見合うだけのあいだ書店の店頭に並べられる本は少ない。
出版界は長いこと右肩下がりで、なんとか打開したいとみんなが思いながらも、解決の糸口は見つかっていない。
その葛藤と絶望感がとてもリアル。
そして、それでも本が好きだからあがき続けようとする人たちの情熱が、闇の中にわずかに光明を投げかけている。