シネマコンプレックス
畑野智美
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刊行日 2017/11/17 | 掲載終了日 2017/12/25
ハッシュタグ:#シネマコンプレックス #NetGalleyJP
内容紹介
恋も仕事も、抗って抗ってそれでも先に進めたら、それが本当の運命だ。
郊外にあるショッピングセンターのシネコンでは、学生やフリーターや主婦たち百人近くが働いている。今日のクリスマス・イブは、日曜日で舞台挨拶やイベント上映もあるから、かなりの人数が出勤しているようだ。恋に悩み、コンプレックスを抱え、将来に不安を感じながら、慌ただしく走りまわる、スタッフたちの長くて短い一日がはじまる。
シネコンでのアルバイト経験ある著者が、自らの青春を詰めこんだ連作短編集。
おすすめコメント
著者・畑野智美さんのメッセージ
「十年以上前、都内にある某シネコンでアルバイトをしていました。一年半くらいの短い間が、私の青春です。『シネマコンプレックス』には、その全てを詰めこみました。チケットをもぎる速さは、誰にも負けません。」
著者・畑野智美さんのメッセージ
「十年以上前、都内にある某シネコンでアルバイトをしていました。一年半くらいの短い間が、私の青春です。『シネマコンプレックス』には、その全てを詰めこみました。チケットをもぎる速さは、誰にも負けません。」
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784334911942 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
シネコンで働くバイトたちの人間模様を描く青春群像劇。
仕事内容なんとなく見当つくけどあまり知らない…という業種なので、こんなに忙しいのね若さがものを言うのね居酒屋と怖いわねと興味深かった。
そして、バイトでも自分の役割にプライドと責任感をもって骨を惜しまずに働いているこういう若人たちっているよねいるよね偉いよねと肯いた。
各章の語り手がそれぞれ違い、職掌によってシネコン内の舞台が変わるのも、連作短編のお手本的な巧さ。
暖かな読了感に浸れる珠玉の短編小説
シネコンのそれぞれのセクションで働く人達の仕事風景を切り取った短編集。
大きな悩みではないけれど、何となく将来に不安を感じたり、人には言えないコンプレックスがあったり…
みんな何となく不安を抱えて生きてると思えばそれに共感出来たし、一本踏み出そうとすれば途端にキラキラしてみえる。
著者にシネコンでのアルバイト経験がある為、どの仕事もとても詳しく書かれており、スタッフってこんなに走りまわってるのかと驚いた。
便利で快適なものが好きだけれど、こういう話を読むと多少不便で手間でも古いものもいいなと思えた。
各章がシネコン、担当エリアになっていて、各担当者が主人公として語り、ストーリーの視点が変わっていく楽しみがありました。また、各担当者の過去出来事や人間関係が、だんだんと明かされてきて、どんどん引き込まれていく。
エンディングで、外は雪が積もり、クリスマスムード満開の中、最後の最後に思いを伝えることが出来たというラブストーリー仕立てで楽しめました!・・・副支配人トーキョーなど、個性たっぷりなキャラクター達から、著者の力量を感じました。
第一章で投げかけた謎(?)を語り手を変えていくことで、徐々に解き明かしていく。連作短編が見事に生きている作品だと思います。
また、それぞれの仕事(=アルバイト)に対する考え方やシネコンの裏側がリアルに描かれていて、シネコンってこんなに大変なんだと思ったり、書店と似ているなと思ったり。
ラストで抱く印象と装画が見事にマッチしてるのも素敵です。
畑野さんの最高傑作だと思います。
シネコンの裏側か、くらいの興味本位で正直あまり期待せずに読み始めました。
ところが、これがなかなか面白くて!
シネコンでアルバイトをする面々にスポットを当てながら、各持ち場の様子が詳らかに描かれています。人間関係や将来に不安や希望を抱いていた20代の頃の自分を思い出し、甘酸っぱい気持ちにもなりました。
短編連作の良さが生きている作品だと思います。
地方都市にあるシネコンでクリスマスイブに働くスタッフたちの連作短編集。シネコンでのお仕事の様子がとてもリアルで情景が目に浮かぶみたいで、イブの慌ただしさ、映画をめぐる現在の状況がよく伝わってきました。日頃、全然考えたこともなかったけど、働いている人同士の人間関係だとか、人生があるんですよね。どことなく停滞し現状に満足していないかのように思える登場人物の思考は、自分に向かって突き刺さるかのような言葉もあったが、その根底には励ますかのような優しさが含まれているように思えました。そして、最後に起こる素敵な出来事はいかにもクリスマスイブっぽいけど、決して奇跡なんかじゃなく、勇気を出して一歩踏み出したからこそで、そこに著者からのメッセージが含まれているような気がしました。
シネコンで売られているポップコーンは、半分以上が食べられていない!うああっ、完食派の私はびっくりでした。それにあのキャラメルの匂い!鼻につく方がいるとは!大好きです。ともあれ、映画館で働くというのは、こんな感じかあと楽しく読みました。そうそう、あのフィルムが燃えちゃう映画!あの頃の映画館とシネコンは違うのかなどと時の流れを感じ、やはり若い子達の隙間で働くのもかったるいものがあるなあなどと思ってみたり。“繁忙期に休みを希望するやつは、辞めてくれ”というのには、あははと笑えました。どんな職場にもそれぞれの人生があり、時は流れていき、すべては変わっていく。畑野智美は、ささやかな日常を切り取るのが上手い、今回もそう思いました。
クリスマスのシネコンの1日。各章がそれぞれの部署で働く人で切り替わるので飽きずに最後まで読み進めた。
シネコンの裏側や大変さがリアルに描かれていて、ちょっとだけ 書店とダブりました。
映画館には、いろんな仕事があり、たくさんの人が働いている。
舞台は
日曜日でクリスマスイブの夜という、特別な時問帯、
試写会のイベントがある、特別な日。
フロアやストア、映写室担当など、様々な担当の、
フリーターや学生、主婦など、様々な立場のバイトが
それぞれが自分の担当や境遇に重ねながら、それぞれにとって特別な1日に挑む
これを読んで初めて知ったことだが、
映画館は、映画だけで黒字にするのは非常に難しく、
併設のショップや軽食・飲み物の売り上げをあげないとそもそもの経営ができないらしい。
だから、バイトも、重労働で役得も少ない割に給料はかなり低い。
映画が好きでないととても続けられないが、
好きなだけでも続けられない。
そんな仕事をしているバイトは、消極的であれ、前向きであれ、
「映画はすきだけど〇〇」という感情が深く刻まれていた。
あと、個人的に全く知らないところの物語なので、それだけでも新鮮な話だった。
さらに、同じ状況を別々の視点から語る場面が、
それぞれの境遇や人間関係から、全く別の描かれ方をしていて、面白かった。
シネコンを舞台とした連作短編。クリスマスイブにシネコンで働く人たちのいろんな目線からそれぞれの人間関係や事情、そしてあるスタッフしかしらない、シネコンで起きたある事件がどんどん暴かれていく。最初のほうはあんまり波がないのかなーと思っていたけどどんどん引き込まれていった。最後岡本と島田がうまくいってよかった!タイトルが「シネマコンプレックス」っていうのも、場所としての「シネコン」と人間関係の複雑さという意味での「コンプレックス」とうまくかかっているような気がする。
とあるシネコンの1日の出来事を様々な角度から読んでいく。全てが繋がっている短編連作というのがとても好きで読み応えがありました。みんなの今後がきになるところ。
シネマコンプレックスの従業員やアルバイトたちのクリスマスイブの一日の仕事の様子が、違う担当の視点から連作短編の形で描かれます。スタッフたちがどんなことをどんな風にしているのかが、経験された方ならではの生き生きとした筆致で伝わってきました。登場人物に自分を重ねて、あるあると思ったところも少なくありませんでした。たった一日の情景で少しずつ5年前の事件を明らかにしていく所はとても好みです。一歩踏み出せるラストもとても良かった。読後見る表紙イラストは晴れやかで本当にキラキラと美しく見えました。
シネコン従業員の話。学生の頃、興味本位でやってみたいと感じたことはあったが中身は知ることもなく。普段映画を観ることはあっても知ることのできない従業員側の目線が、詳細に詰め込まれており、実情がみられて面白かった。章ごとに、フロア、BOX、コンセなど担当が変わり、視点も変わる。清掃の早さ、チケットもぎりの早さ、周りの動きから自分の仕事を判断するプロフェッショナルさは、一度働いてみて身につけたくなる。さすがに5年は長すぎるが、二人のベストタイミングだったのか、最後は誰もが納得の結末。
シネコンで働く人々の各々の視点から紡がれるクリスマス・イブを描いた連作短編集。
普通の人々が織りなす1日にはそれぞれのドラマが・・・。
フロア(会場の清掃等)・コンセッション(売店)・ボックス(チケット販売窓口)・ストア(グッズ販売)・オフィス(事務)・フロア新人・プロジェクション(映写室)7つの視点から舞台挨拶やイベント上映が行われるという忙しい1日の中で繰り広げられる各々の仕事ぶりを通して、誰もが持つであろう当たり前の日常や悩みコンプレックスなどが描かれていて、読み進めるときっと誰もが一人々に共感出来ると思います。ただ人々を描くだけではなく主役二人の物語が織りなすシネコンでのある事件がこの物語の中には潜んでいて、ラストに向かってその事件が判明しやがてクリスマスの風景に溶け込みます。
ちょっとだけ前を向いて一歩を踏み出したくなるような地味だけどほっこり出来る作品でした。
シネコンの裏側にはこんなドラマが隠されていたのか。どんな仕事もラクではないけれど、シネコンでの仕事はなかなかにハードだ。それぞれのポジション、それぞれの思い。シネコンという独特の空間の中でのさまざまな人間模様に心を揺さぶられる。
作者がコメントしている通り、青春が詰まっていました!それが読み手のこちらにも響いてくる。これから映画館に行っても、従業員の方に勝手に感情移入してしまいそうです(笑)