ブレグジット秘録

英国がEU離脱という「悪魔」を解き放つまで

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刊行日 2017/09/16 | 掲載終了日 2017/09/15

内容紹介

 2016年6月23日に行われたイギリスの「欧州連合離脱是非を問う国民投票」では、キャメロン首相がEU残留を呼びかけたにもかかわらず、離脱賛成派が残留派を上回る結果となった。

 なぜキャメロンは国民投票をしなくてはならなくなったのか、なぜ与党保守党は分裂してしまったのか、そしてなぜ政権は国民を説得することに「失敗」してしまったのか――。

 キャメロン政権で首相付の広報官を務め、政権内部の議論あるいは海外との折衝の現場に立ち合ってきた著者が、2016年初頭から6月の離脱決定までのキャメロン政権の日々をつぶさに描く。序文「国民投票当日の夜」から始まる政治闘争の内幕を、キャメロン首相、ボリス・ジョンソン(前ロンドン市長)、テリーザ・メイ(現英国首相)、ナイジェル・ファラージ(英国独立党)、オバマ、メルケルといった人々の生々しい肉声も交えながら伝える迫真の政治ドキュメンタリー。

 2016年6月23日に行われたイギリスの「欧州連合離脱是非を問う国民投票」では、キャメロン首相がEU残留を呼びかけたにもかかわらず、離脱賛成派が残留派を上回る結果となった。

 なぜキャメロンは国民投票をしなくてはならなくなったのか、なぜ与党保守党は分裂してしまったのか、そしてなぜ政権は国民を説得することに「失敗」してしまったのか――。

 キャメロン政権で首相付の広報官を務め、政権内部の議論あるいは海...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784334979539
本体価格 ¥3,000 (JPY)

NetGalley会員レビュー

イギリスEU離脱が国民投票で勝利する日までを追ったドキュメントなのですが、その内容は想像以上に興味深い内容で(首相官邸広報責任者である著者からの目線のものですが)、キャメロン首相とそれを取り巻く人たち、メディア、有権者までの壮絶な政治社会の人間ドラマでした。サブタイトルにもなっている「まだ見ぬ悪魔を解き放つことになる」と言ってキャメロン首相はEU残留か離脱かという国民投票を決めたと言っていますが、離脱が決まった今、実際に「悪夢」がやって来るのかはまだわかりません。ですが、キャメロン首相チームの「移民問題より経済問題が重要」という誤算から始まり、仲間の裏切り、メディアの嘘など、政治世界のふだん見えない動き、やり取り、人間関係には、すべて納得できる内容にまとまっていて面白かったです。また、この本を読むオプションとして、今までより少し違った政治への見方と、政治にもちゃんと思いを持てるようになっているかもしれません。私の場合は、政治の世界にも愛の目で見れるような気がしてきました。(例えば、日本の安倍総理などにも。)
600ページ以上ありますが、1ヶ月分の内容が100ページ分と考えるとそんなに長くもなく、むしろちょうどいい量にも思いました。多くの人にオススメします。

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沈む豪華客船の話は誰もが好きな話で、映画にもなり、もっとも最近の作品は世界歴代興行収入のトップ3に入っている。
 この本も、沈む豪華客船の話である。すでに氷山にぶつかっていたことは、あとで気づくことになる。そして沈まないはずの船が沈む。
 英国は、日本から見ると「議会制民主主義のお手本」だろうし、洗練された民主主義の例として引用されてきただろう。ただ、国民を二分する問題に直面したときには、果たしてどうなのだろうか。
 これは遠い国の特殊な話ではない。政府、グローバリズム、隣国、そしてメディアや不満を感じている国民たちの関係性は、どの国でもあることで、英国はEU離脱に集約されたわけだが、日本でも同じ構図はある。

 ドラマチックな内容。とても多くの人物が出てくるものの、著者自身が中心になっているために視点がブレないので読みやすい。また、注釈も的確。臨場感あふれる政府の中心部に、私たちものめり込むことができる。この本を読んでいる間、ずっとそこにいたような気になれた点がすばらしい。
 このような窮地に、どう対応するべきだろうか。誰がその答えを持っているのだろうか。誰も答えがないときはどうするのだろうか。
 国民投票前の政府の状況、与党野党の状況などが活写されているのだが、ときどき人間的な描写をうまく取り入れている。このため小説のように読むこともできる。冒頭からいきなり引き込まれていくので、長い作品ながらも海外ドラマのように楽しめてしまう。
 同時に、英国の政治構造、EUと英国、英国式の思考方法、民主主義といったディープな世界への案内役にもなっている。
 こうしたカオスのような世界では、本質はなにか、なにが最重要かを見極める嗅覚がないと生きていけないな、と感じる。
 もちろん、著者は意図的に書いていない(書けない)こともあるはずだ。ベルギーのテロが起きたことは記しているが、その後、テロ対策についてどのようなことが話され、離脱問題とどう絡めて考えたのかはまったく記されていない。また、ファラージュ英独立党党首については、19章に至るまでほとんど触れられていない。つまり離脱派については、もし把握していた事実があったとしても、本書にはいつなにを知ったのかは記していない。このほか、ここに書かれていないことを読者は想像してみるのもいいだろう。
 最後に、著者の言葉が、いまの時代に私たちにも問いかけてくる。
「政治は、彼らを政治に参加させる適切な方法を見つけ出せるだろうか──世界に対する不安や怒りを煽るという、今回の離脱キャンペーンが取ったシニカルな方法以外に。」(P645)
 日常に不満を抱えた有権者たちに、有識者や大企業の経営者の声は届かない。理性より感情が勝る。この時代をどう生きるのか、私たちは問われているのである。

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日ごとに高まる混乱と焦燥、繰り返される裏切りと謀略。残留も離脱もいいとこ取りを狙うコインの裏と表、敵にも味方にも非難を重ねながら、自分たちが間違うことがあるはずがないと信じている。そして駆け引きの日々は続き、不安を押さえ込みながらついに、運命の日が来る。すべてわかっていてもその緊張感で読ませます。
理解されようとしなかったし、理解しようともしなかった。だからその報いを受けた。「アラブの春」も為政者側から見たらこうなのかもしれないと、読みながらふと思いました。

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政治にさほど詳しくない日本国民の一人であっても、イギリスのEU離脱は歴史の大きな転換点であり、また近く憲法改正についての国民投票を行うかもしれない身として非常に興味があった。
また、いくつかの疑問もこの本によって解消された。離脱派のボリス・ジョンソンの「離脱」、テリーザ・メイ現首相の動き…日本にいてはうかがい知れないリアルな光景が目の前に浮かんできた。
この本から得たのは、投票を提起する側が送る情報がダイレクトに投票者に伝わらないということ(マスメディア、反対勢力の思惑によって歪められ変質される)、また、投票する側も投票の目的を無意識に歪めてしまうということである。この点を十分認識して政治的な意思表示をしなければ、本来進むべき道をあやまることにもなりかねない。
本日、衆議院解散が今月末にも行われるという記事に接した。この本から得た教訓が役に立つ日も近いのかもしれない。

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