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海猫沢 めろん
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刊行日 2017/07/25 | 掲載終了日 2018/04/16
内容紹介
少数精鋭、短期決戦をモットーとするホストクラブの店長、白鳥神威。キャストたちの「ウェーイ!」の声に見送られ、いつも通り歌舞伎町から帰った彼を家の前で待ち受けていたのは、見知らぬ赤ちゃんだった!
母親の心当たりは無いが、育てることを決意した神威は、赤ちゃん同伴で出勤するものの、女性客はあっという間に離れてしまった。
窮地に陥った神威は、元ホストのIT社長・三國孔明と一緒に、クラウドファンディングで赤ちゃんを育てることを思いつく。日本を革命するソーシャル子育てサイト、名付けて〈KIDSFIRE.COM〉だ。
試練を前にして逃げることは、カリスマホストの本能が許さない。彼らはITで日本の子育てを変えることができるのか!?男たちが育児の変革に挑む、新時代のイクメン小説!
おすすめコメント
著者の海猫沢めろんさんはホスト、DTPデザイナー、放送作家など様々な職業を経てデビューした異色の作家です。ゲームをノベライズしたデビュー作『左巻キ式ラストリゾート』は奇書としてカルト的人気を誇り、10年の時を経て2014年に復刊されました。一方で各文芸誌で執筆を始め、『愛についての感じ』は第33回野間文芸新人賞の候補に選ばれました。最近はエッセイ、評論、科学ルポ、ラジオなど活躍の場を広げています。
本作は著者自身が元ホストで子育て真っ最中、という経験を元に書かれているため、一見、突飛な設定のようで、リアリティに溢れています。一人で子供を育てているとどんな心境に陥るのか? 男性だけで子育てをするためにウェブの力を借りたらどうなるか? ウェブで育てられた子供はどんな風に成長するのか?
エンターテインメントとして楽しんでいただけるのはもちろんのこと、現代の育児を巡る問題点が浮かび上がると同時に、近い未来に実現可能かもしれない育児を提案する作品でもあります。ただの“イクメン”小説ではない、新しい育児小説です!
出版情報
ISBN | 9784060000000 |
本体価格 | |
NetGalley会員レビュー
歌舞伎町のカリスマホスト店長、神威(カムイ)の前に突然現れた捨て子の「赤ちゃん」。
超がつくプラス思考の神威は、これは自分自身を成長させるチャンスであると前向きに捉え、ホスト業をしつつ赤ちゃんを育てようと決心するのだった。だが、今の日本で赤ちゃんを育てる困難さは筆舌に尽くし難く、あっという間に彼の店は崩壊の危機を迎えてしまう。
そこで、一計を案じた彼は、赤ちゃんを育てることを目的としたクラウドファンディングを立ち上げ、拾ったとはいえ我が子の将来の育英権利をファンドの対象にするのだった。
ITパワー×ホストパワーで、親子の「愛」の代わりはできるのか。赤ちゃんの人生をかけた壮大な実験が始まる。
いやあ、面白かったです。お話の前半は正直縁のないホスト業界のキラキラ日常で読んでいてクラクラしましたけれど、日本の子育て事情の難しさはよく知っているので、これからどうなっちゃうのかしらと色々想像しながら興味深くページをめくっていました。
そして、ガラッと雰囲気の変わる後半では、想像を超える驚きの結果が見事に描かれています。個人的にはこういう未来も賛成ですねー。もちろん、賛否両論あるのでしょうけれど、ね。
元ホストの著者ならではの本作。突然子育てすることになったホストのリアルと、突飛な解決策による大逆転が痛快。「量子的精子」には盛大に吹いた。登場人物の名前が「荻窪リキ」とか「須田大介」とか「西一輝」とか、なんかもう笑うしかない感じ。後半の、子ども視点の後日譚はいろいろ深い。
小気味良いリズムとホストたちにのせられて、あっという間に読了。だが、現代社会の問題と不気味な未来が描かれた、なんだか恐ろしい小説であった。
非常に不快な作品。
現実離れした内容もさることながら、文体や表現も稚拙で非常に読みづらい。
表紙の、「この育児、伝説級」の文字に文句をつけたい。
歌舞伎町の元・カリスマホスト(現在はホストたちを率いるホストクラブのカリスマ店長へ)が突然、目の前に現れた赤ん坊を育てることに・・・!
ホスト×赤ん坊の奇抜な組み合わせの子育てどたばたコメディかと思いきや、読み始めるとはどうやら主点は子育て自体ではなく、「未来の子育て」の在り方だ。
設定こそホストが現代~未来の子育てを憂い、世の中を変えようと奔走し、極端すぎるようにも思える彼らの行動に読み手はふふっと笑いをこぼす。そして、その突飛さにはときに嫌悪感すら抱く。
しかし、気がつけば「これから」の子育てに不安を煽られている。
そう、これは著者から世の中への問いかけだ。
世の中が変われば子育ても変わる。そういうの考えてみたことある?と
何をすれば正解で、何をすることが間違いなのかはわからない。
彼らのように何かをなし得ることができるとも思えない、何かをやらかしてやろうとも思わない。
だけど、考えることならできる。まずはそこから。
笑えそうで、笑い事では済まない1冊。
ホストのテンションに最初ついていけなかったが、主人公神威は馬鹿だけど前向きでまっすぐで、応援したくなる感じの人でした。「常識で考えたら」というのがないので新鮮な目線でしたし、心に刺さる言葉もかなりありました。
クラウドファンディングでの子育て、プランを見て噴き出しましたが彼らは本気で彼らなりに子育ての未来を見ている。これは初見で馬鹿にしないでいろんな人に読んでもらいたいと思った。
粗筋を読んだときホスト×赤ちゃんのミスマッチさが面白そうで読んでみた。それを核にして日本が直面している問題点を持ち前のチャラさで少しでも解決しようとしている点には好感が持てた。でも、やっぱりホスト的ファッションセンスが一般的になるのには抵抗感が強いので主人公のブレーンに一般的な感覚の持ち主(ストッパー)がいてくれたら物語的にも面白そうだなと思いました。
ホストクラブの最強の新人キャスト、それは生まれたての赤ちゃんだった!
ホストたちが意外なほどの根性と発想の転換をみせ、子育てをビジネスに無理やりリンクさせていく前半。
オイオイ、この子はどうなっちゃうの?
という疑問は、赤ちゃんが少年に育った後半ですっきり解明。
絶対にありえなさそう…でも、発展途上国の子供たちのクラウドファンディング化なんていうのは起こりうるかも?
ノリのよさでウェイウェイ軽快に飛ばしていくけれど、怖いものが底の方に流れている。
冒頭の延々と続く歌舞伎町の街の詳細な描写に、面倒な言葉遊びの小説なのかと感じてしまったが、奇天烈な発想のストーリー展開に刺激され、あっという間に読了。
読み終わってみれば、風刺の効いた正義あるヒューマンストーリーだった。
特に、後半の「キャッチャー・イン・ザ・トュルース」は心打たれるエピソードがいくつもあり、現代的なSFの要素や軽い文体と人生教訓のような普遍的内容のギャップにやられた感がある。
「理想と現実を一致させ続けるのが子供」という、ある意味純粋な思考の孔明。
ハプニングから逃げず真っ直ぐに立ち向かい、政治にも誠実に関わる、実は地に足がついた人間性の持ち主の元ホスト神威。
男爵や千草という周囲の人々の本質的な優しさ。
真の登場により、大人の世界に近づいて自我の目覚めを果たしたKJ。
魅力的な登場人物ばかりだった。
無茶苦茶に思えたプロジェクトがラストの落ちで人生に必要なことを満たした完璧な内容だったと気付かされる。
東京オリンピック、新国立競技場、豊洲問題・・・すべてを絡めた上手いまとめ方で、素晴らしい作品だtった。
現代のさまざまな問題が作品中に盛り込まれていて、勉強になりました。一つの問題を解消しようとするとどこかに歪みが生じる…全ての年代が生きやすい環境とは何なのか考えさせられました。
かなり問題作だ。どう問題かと言うと、感情論でバッシングを受けるだろうな、ということ。しかし、私はこういう問題提起は嫌いじゃない。
実際、待機児童の問題だって、児童相談所が抱える問題だって、行政を待ってたんじゃらちが明かなくて、じゃあ現状を打開するにはどうしたらいいの? のひとつの提案として、クラウドファンディングがあるのだ。
文章は軽いけど、今の子育て世代が感じている不満や不安をちょいちょいぶっこんできていて、ものすごく鋭い社会風刺になっていると思う。
という訳で、この小説の行動が実際に可能かしら? と、つらつら考えていたら、レビュー書くのに2週間もかかってしまった。
ただのエンターテイメントでは終わらない
子育ての在り方に一石投じた新時代小説
ホストが子育てをする痛快コメディ小説を想像しながら読んでた。
コメディ色の強い物語前半は、文字通りケラケラと笑いながら読んでたが途中から様子が一転。
著者も現在、子育て真っ最中らしく、なんとなく自分が抱えてる思いを登場人物達が代弁してくれて不覚にも泣きそうになった。
女性だけでは子育ては出来ない。
男性だけでも子育ては出来ない。
夫婦仲良く手を取り合って、可愛い我が子に無限の愛情を捧げればいいのだろうけど、現実はそんなに甘くない。
到底、実現不可能に思える物語の後半部分だが、保育園問題に悩まず、子育て世帯への補助が手厚い「子供を第一に考えるチルドレンファースト」を掲げる未来ならちょっと行ってみたいと思った。
意外や意外。ホストの子育てなんて、チャラくて軽いストーリーと思いながら、とりあえず読もうという感じだったので、尚更、この先入観の斜め上をいく展開にビックリした!確かに、西加奈子のさんのコメントに思わず同意してしまう。
社会風刺と近未来的な雰囲気というスパイスの絶妙な味付けを是非一度味わって頂きたい。
序盤の怒濤の勢いに乗れるかがすべて。何も考えてない「ゾロリみたいな」主人公に息苦しくなるのをがまんして読み進めるとぱたぱたと事態が動いて、都会の喧噪を一瞬離れた裏道に静かにテーマが浮かび上がる。KJの予想外の造形が光る6年後の展開もいい。
とても面白く一気に読みました。
赤ん坊が現れるまでは退屈な描写が続きますが、そこから話が転がります。急に乳児の子育てをする羽目になるという突飛な設定ではじまりますが、世間のほとんどのパパにとっても子育ては準備はしていても急に始まるものだから違和感なく読み進められます。育児描写は見事です。
流行り物が散りばめられているけれども、育児というスタンダードなお話に沿いながら力業でお話が進みます。
育児の話題になると最後をまとめる美辞麗句が「社会で育てる」になることがしばしばありますが、今の時代のワンオペ育児は全く解消される気配がありません。
そこに飛出すソーシャル育児。
発想は突飛だが、解決しなければいけない問題はおさえており、また散りばめられた育児あるあるも面白いです。
後半急に近未来小説にもなり、ジャンルを気にしない想像力に脱帽です。
スピード感があって、爽快な物語。是非とも実写映画化してほしい。きっと素敵な映画になると思います。
できれば、”男爵”はサンドウィッチマンの富沢さんにやっていただきたい。
“ホストが子育て”と聞いて、てんやわんやのコメディかと思いきや…深い!現実的な描写が多くあるので、具体的に想像しながら読み進められて面白い。そんなまさかー!と思う反面、こんな未来あるのかも、と笑いながらも現代社会が抱える問題を考えさせられる。“ホスト”、“子育て”に興味がなくても読んでほしい!舞台は歌舞伎町を飛び出し、日本へ、世界へ!刺激的な未来が楽しめます。
な、な、な、なんじゃこれゃあ!と叫びたくなる内容でした。
最初は表紙のデザインに惹かれ読み始めました。カリスマホストがある日、自宅の前に放置された赤ん坊を育てていく物語ですが読み始めからのバリバリのホストを表した口調や個性的過ぎる目線での描写と現実と少し離れた設定に若干、ついていけませんでした。
しかし、読み進めるにつれ言葉のチョイスが面白い!また主人公の奇想天外とも思えるアイディアに次は何が起こるのか楽しみでいっきに読みあげてしまいました。
クスクス笑える描写も多いですが、後半部分は胸が熱くなりました。
道徳的な常識からしたら考えられない主人公のアイディアが今の日本の問題を根本から解決するきっかけになるかもしれない?! 読み終わった頃には、期待する自分がいました。
そもそも、常識とは何なのか、普通とは、当たり前とは何なのか
この本を読んで色んなしがらみや常識から解放されるような気がしました。
是非、多くの方に読んでほしい作品です!
最初から全開のホスト的描写には驚きましたが、なぜかとても読みやすく楽しくてずぶずぶと本作の深みにハマってしまいました。
神威たちの飛び抜けて奇妙な、だけれどたまらなく愛おしいキャラクターの会話はいつも面白くて、苦難を切り抜けようとする発想力やフットワークなど、本当に自分が見習うべきところがたくさんありました。
後半部分では一転して主役が変わりますが、KJも真もとても大人びているけれど可愛らしいし、とめどない展開で気がつけば読み終わっていました。こんな世界になったら実際どうなるかはわからないけれど、KJと真は幸せだったんじゃないかなと思います。
気軽に楽しく読めて、深く考えるきっかけを作ってくれる。
エンターテイメントとしてもビジネス書としても成り立つような秀作でした。