滔々と紅

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刊行日 2017/02/23 | 掲載終了日 2019/05/15

内容紹介

全国の書店員が「世に出したい」新作を選ぶ、エンタメ小説新人賞 第 1 回 本のサナギ賞大賞作品


<あらすじ>
天保八年、飢饉の村から 9歳の少女、駒乃(こまの)が人買いによって江戸吉原の大遊郭、扇屋へと口入れされる。駒乃は、吉原のしきたりに抗いながらも、手練手管を駆使する人気花魁、艶粧(たおやぎ)へと成長する。

忘れられぬ客との出会い、突如訪れる悲劇。苦界、吉原を生き抜いた彼女が最後に下す決断とは…。

「ここは吉原じゃ。世間からは苦界とか地獄とか呼ばれておる。お前にもそのうちわかる。ここから生きて出たければ強い心を持たんといかん。それができないものは死んでいく。馴染むものには極楽じゃ、嫌う者には地獄じゃ。まあ、これはどこも同じじゃがな……
地獄か極楽かはお前さん次第じゃ」

■ 本のサナギ賞
「本のサナギ賞」は、作家・書店・出版社が一丸となって取り組む、新しいエンタメ小説新人賞として、2014年に設立されました。最大の特徴は、本が大好きな「本の虫たち」=現役の書店員さんに、「世に出したい!」と期待を込める新人作家の原稿を、「本のサナギ」として選考してもらい、大賞ならびに優秀賞を決めることです。

大賞は新人作家のデビュー作としては異例の初版2万部にて書籍化し、書店員さんと営業担当、作家が力を合わせ読者の方へ届けます。最終的に「本のサナギ賞」はサナギからの羽化、すなわち業界を代表するようなベストセラー新作・新人作家の輩出を目指しています。


* 本書は2015年に小社より刊行された著作を改稿し、文庫化したものです

全国の書店員が「世に出したい」新作を選ぶ、エンタメ小説新人賞 第 1 回 本のサナギ賞大賞作品


<あらすじ>
天保八年、飢饉の村から 9歳の少女、駒乃(こまの)が人買いによって江戸吉原の大遊郭、扇屋へと口入れされる。駒乃は、吉原のしきたりに抗いながらも、手練手管を駆使する人気花魁、艶粧(たおやぎ)へと成長する。

忘れられぬ客との出会い、突如訪れる悲劇。苦界、吉原を生き抜いた彼女が最後に下す決断とは…。

「...


おすすめコメント

「読み終えたときは胸が震えた。完成度の高さで群を抜き、これほど読ませる作品を書く作者が、いままで無名であることが信じられなかった」

さわや書店・松本大介

「読み終えたときは胸が震えた。完成度の高さで群を抜き、これほど読ませる作品を書く作者が、いままで無名であることが信じられなかった」

さわや書店・松本大介


出版情報

発行形態 文庫・新書
ISBN 9784799320440
本体価格 ¥800 (JPY)

NetGalley会員レビュー

天保の大飢饉で女衒に売られた女の子が吉原で花魁になり……というお話。参考資料にも『江戸の吉原 廓遊び』『江戸三〇〇年吉原のしきたり』など多くの書籍が記されており、この時代の風俗をよく調べて書かれた物語なのだろう。あまり知らない分野なので興味深かった。

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「講釈師、見てきたような嘘をつき」という言葉が思い浮かぶ。江戸時代に出掛けて来たのではないか、と思わせる詳細な描写で、物語にグイと引き込んでいく。苦界に身を落とした者には、意に沿わない相手との同衾以外にも、こんなにも辛いことがあるのか、と女性なら身につまされるはず。主人公・駒乃の向こう意気の強さは小気味よく、一方憎々しい敵役にも人間らしい部分には溜飲が下がる。佐伯泰英著『吉原裏同心』を彷彿とさせる部分は少し気になるが、初の時代小説というから、これからが楽しみな作家だ。

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物語は、天保の大飢饉、特に酷い東北地方から始まる。
数えるほどしかいない生存者も子供を吉原に売らなければならない、いや子供を生きさせる為に吉原に売るしか術がない。その子供が吉原で様々な苦難を乗り越え、周りの「死」を見ながら花魁になるまでと、その後の人生を描いた物語です。この本は「本のサナギ賞」大賞を受賞されたのですが、この作品が無名の新人のものなのかと疑りたくなるほどの完成度と構成力、筆力に感動しました。
間違いなく次の作品も読みたくなる作家です。

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楽しく読ませていただきました。押さえた筆致は悲惨な光景の描写によく合っていて、引き込まれる物がありました。時代考証もしっかりしているようで、「そうだったのか」という点がいくつもありました。惜しむらくは、美しさやうれしさ、楽しさに関してはあまり筆が回っていないようで、花魁やそれを取り巻く生活の描写が少し平板かな、と思いした。また、括弧書きの時代風俗説明は、できればさり気なく本文にちりばめた方がいいと思います。全体としては平均点以上の内容で、次作を期待できる作者だと思います。次にどんなテーマで描くか楽しみですね。

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吉原について、分かりやすく描かれているので歴史に興味がない人でも読みやすい作品だと思います。主人公の心情は淡々と描かれ、ある女性の儚い人生を覗き見しているようでした。

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吉原と聞けば、思い浮かぶのは男女の悲恋やら女同士のドロドロした戦いやら不幸な女たちの物語。
本書でもやはり、主人公・駒乃は貧しさゆえに9歳の幼さで吉原に売られてしまう。

ああ、また一人幼い女の子が吉原という生き地獄へと堕とされてゆく。
あまたの苦労を乗り越え、恋を経て、女たちの戦いを勝ち抜いて、ドロドロドロっと花魁の道へ・・・
なんて想像をしていたのだけれど、あれ?そこまでドロドロしていない。
これならせいぜいドロっとくらいだ。

感触としてはなんだか、枕草子だとか和泉式部日記などの昔の文学作品を読んでいるようだ。
吉原の歴史、遊郭でのしきたりや遊女達の位から価格、吉原での年中行事と細かい章に区切られてすすむ物語は遊女達の日常を描き、まるで日記のようだ。

若干のドロっとはあれど、主人公・駒乃の物事を割り切るサバサバした性格のせいか読み手側もそれほどしんどくない。
はじめの方こそ各項で差し込まれる説明口調がどうも教科書を読んでいるようで情緒に欠ける気はしたものの、読めば読むほど引きこまれてゆく。
気がつけば400頁近い本をわずか2日ほどで読み終えていた。
読みはじめたときと読み終えたときでこうまで印象が変わる本もなかなか出会えない。
率直に、ただ面白かった。
悪くいえば少々あっさりと。良く言えば斬新な。
これはそんな新しい吉原の物語。

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天保の大飢饉で、女衒に女郎に売られた女の子の話。
よくある、ドロドロ、男女の悲恋、吉原の中身も書いていますが、
主人公が、一つ、一つ経験しながら、自分の生きていく道を模索し、どんどん成長していくところが
とても斬新な小説でとても面白く読ませていただきました。
必死に生き抜いて、やがて、自分の生きる道を見つけ
その後、普通の暮らしになるところや、最後の妹禿との別れ等が涙がでました。
ありきたりの吉原話ではなく、吉原から出ることができてその後もと、
とても読み応えがある作品でした。
次回作にも期待します。

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時は天保の大飢饉のなか、1人の少女が吉原に売られてくるところから物語は始まる。全編を通してこの少女の周りには、いとも簡単に死が身近にあるということだ。
それは江戸という時代もあるが、がんじがらめに女性を囲い込むような吉原でのしきたり、苦界の現実でもある。
そのなかで、本来の性格と花魁の意地、矜恃をみせながら変わっていく主人公。心の拠り所は信仰と、小さな禿なつめの存在。
多くの人と出会って、運命が動いていくさまは目の前で繰り広げられているようだ。
人の心の救いとはなんなのか、問う一冊だ。

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幼いころに苦界吉原に売られた主人公が、先輩の花魁や仲間たちと共に、花魁へと上り詰めていく。花魁になった後もつらい出来事や哀しい別れを繰り返し、乗り越えていく姿が感動でした。

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