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レビュアー 697890

難しいと思われがちな古典の面白さを伝えたい!という林望先生の熱い思いが、わかりやすく楽しい解説の行間からにじみ出てくるような気がした。
国文学者であらせられながら、能楽の舞台にも立たれ、またバリトン歌手としても活躍されている筆者の解説は、声を出す、発声、音、についての造詣が深い。
中学生高校生の子どもたちと話をしていると、国語が苦手、とか、国語の点数がとれない、という話題になります。なぜだろう、と考え、色々と思いをめぐらします。原因は様々でしょうが、面白くない、面白いと思える先生、授業や本に出会えていない、のだろうと思え、残念極まりなく感じる。
特に古典は文章の意味がわからない、文法からして現代語と違うから活用系の暗記とかも苦手、という話になる。
こうして大人として読んでみても、確かに、慣れていないと、一読して意味がとれない、ということに気づく。この問題は大きい。こうして現代語訳と並べて読んでいても林望先生の訳は素晴らしくわかりやすいのだが、概して訳の方が相当長い。
これは注釈解釈を加えてある、ということもあるが、古典の文章がいかに短い言葉、単語の中に多様な深い意味が込められているかということになるのだろう。
注釈がないと読めない、のは正直変わらないのだけれど、そのハードルを下げて行きたいと思った。日本語なのに読めない読まないのは勿体無い、確かに。

ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。