カフネ

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刊行日 2024/05/20 | 掲載終了日 2024/05/20

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内容紹介


一緒に生きよう。
あなたがいると、きっとおいしい。


食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。

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あらすじ
法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。

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担当編集者より
5年近くの歳月をかけて、優しくも切なく儚い、阿部暁子さんの新たな代表作が誕生しました。
食べることの大切さ、人とのつながり。本作に登場する薫子とせつな二人の関係を通して人生で大切なことが何かを改めて気づかされます。改稿される原稿を読むたび、担当編集者は何度も泣きました。

2024年本命の作品として、ご感想をお待ちしています!!

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著者/阿部暁子(あべ・あきこ
岩手県出身。2008年、『屋上ボーイズ』(応募時タイトルは「いつまでも」)で第17回ロマン大賞を受賞しデビュー。『どこよりも遠い場所にいる君へ』はベストセラーとなり、『パラ・スター〈Side 百花〉』『パラ・スター〈Side 宝良〉』二部作は《本の雑誌》が選ぶ2020年度文庫ベスト10第1位に選ばれた。ほかの著書に『鎌倉香房メモリーズ』(全5巻)や『また君と出会う未来のために』『室町繚乱』などがある。近著に『金環日蝕』。


一緒に生きよう。
あなたがいると、きっとおいしい。


食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。

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あらすじ
法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二...


出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
○自分には合わない内容だった際、どういったところが合わなかったかなど、建設的なご意見をくださる方

下記に該当する方のリクエストはお断りさせていただく場合がございます。
ご理解のほど、宜しくお願いいたします。

○お名前・所属などに詳細な記載がなく、プロフィールにてお人柄が伺えない方
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※※リクエストの承認につきましては現在お時間をいただいております。

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販促プラン


読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューをご投稿ください!
著者・担当編集者ともに楽しみにお待ちしております。
また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。

※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはくれぐれもお控えくださいませ※

ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

★★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 出版営業局>まで直接お問合せをお願いいたします。       

★★



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※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはくれぐれもお控えくださいませ※

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★★★
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出版情報

ISBN 9784065350263
本体価格 ¥1,700 (JPY)

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

薫子は、夫との離婚に続いて最愛の弟も亡くしてしまう。そんな中、弟の元カノであるせつなとの交流が始まり、薫子とせつなの関係性が、カフネの活動を通して少しずつ近づいてゆく様子が丁寧に書かれていました。カフネの活動で、いろいろな理由から家事がままならない家でのボランティァから伺える社会問題や、登場人物の親子関係など、ストーリーに組み込まれたたくさんのエピソードに、心を痛めることもありましたが、その隙間を埋めるように、心を癒すような温かい料理が並べられ、人間の弱さや頼りなさを支えてくれる気がしました。無敵のように思えたせつなの、完全武装の内側に薫子が寄り添う未来がに思いを馳せました。

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「カフネ」という不思議なタイトル、これは作中に登場する家事代行サービス会社の名称。ポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」という意味だという。もうこのあたりですっかり物語に魅せられてしまう。
主人公は夫と離婚し、そして仲の良かった弟を突然亡くした中年の女性。
生前、弟は交際相手の女性を家族に紹介する。その女性が所属しているのが「カフネ」。彼女はここで料理のプロとして活躍している。冷蔵庫にあるものでたちまちにうちにいろいろな料理を作ってくれる、そう、家政婦の志麻さんみたいな人だ。
家族顔合わせの場で、両親が「ちょっと料理を作って」と頼むと「私の時給分3000円をいただきます」と言われてしまう。プロであるとの誇りであるが、このエピソードがなかなかいい。
いろいろあって主人公は土日にボランティアとして「カフネ」を手伝うことになる。「カフネ」利用者が「この人に必要」と感じた人にプレゼントできる「お試しチケット」があり、その利用者の元に無償で向かうのだ。向かう先はなんらかの事情を抱えている家庭。そこでのドラマもなかなか読み応えがある。
ストーリーは実にドラマティックだ。人それぞれがさまざまな事情や感情を抱えて生きている。
その謎が明かされるたび、意外な真実に涙させられてしまう。人は強く生きている。しかし弱る時だってある。誰かに頼りたい時もあり、誰かを助ける時もある。
5年をかけて作られた物語は実に巧みで、人物も深く魅力的だ。初めて読む作家だが、この前にも色々と書かれているようだ。遡って読んでみたいと感じた。

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弟を亡くした薫子は亡き弟の元彼女の
小野寺せつなと遺言のことで会い
気分が悪くなって倒れたところを
助けられ、それから段々とお互い
関わるようになる。


誰からも好かれていた弟、晴彦の死を
なかなか受け入れられない薫子。
しかも離婚の痛手からも立ち直れず
アルコールにたよる毎日。


自分の感情を表に出さず冷たい雰囲気の
せつな。しかし、身も心もずたぼろの
薫子に料理を作ったりボランティアで
家事代行を手伝わせたり、彼女なりに
元カレの姉を気遣う。


読み進めるうちに薫子はもちろん
亡くなった弟の晴彦、そしてせつなの
抱える問題があきらかになっていく。
人としての自分の在り方、生きたいように
生きることの難しさ、家族だから
一緒にいても人は人のことを
本当に理解しているとは限らない。


家族に愛されても縛られて生きたいように
生きられなかったり、家族の期待に
こたえるために無理したり。


近しい家族という存在ほど難しいものは
ないんだと気付かされる。どんなに近く
一緒にいようとも心に思っていることを
言葉にしないと伝わらない。
口に出して、伝えることの大切さを
改めて感じさせてくれた。


どんなに快活で、爽やかで、みんなに
好かれて頼りにされる人でも悩みはあり
そういう人こそなかなか本音を言えなかったり
苦悩を心に抱えていたりするのだなと思った。


だから表面的なことではなくその人の
本質を見てくれる人が必要なんだなと。
これはもがきながらもまっすぐに
生きようとする大人たちの物語。


そして、離婚や貧困、片親、ワンオペ
ネグレクト、虐待、介護などで
起こりうる問題も赤裸々に描かれている。


本当に助けが必要な人たちが
必要なサポートを受けられる世界に
なってほしいとこの本を読んで感じた。


そしてどんな形態の家族でも生きやすく
助け合えて、すべての人がその人らしく
自由に生き方を選べる世の中になって
ほしいと強く思った。


家族の在り方、親子の在り方、家族の形態は
こうあるべきと決めつけるものではなく
多様性を認めて独自の心地よい関係を
築いていける世の中になることを願う。


カフネを読んでいろんな家族の形
関わり方を考える機会をもらった。

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なんて愛おしい人たちだろう。
心に深く沁みこむお話だった。

苦しみに中にいるときは、自分しか見えない。
窒息しそうなほど苦しんでいた主人公の元に一人の女性が現れる。
弟の元恋人の彼女とかかわることで、
主人公は少しずつ息ができるようになっていく。

外から見ただけではわからないそれぞれの苦しみが、
薄い紙をはがすように、ゆっくりと明らかになっていく。

読んだ後、きれいな空気をたくさん吸い込んだような気がした。

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真面目な薫子は、突然夫から離婚したいと告げられ離婚し、弟・春彦の急死により悲嘆にくれていた。弟の遺した遺書には弟の元恋人のせつなにも遺産を遺したいと書かれていたことから薫子はせつなと会うことになる。
せつなは家事代行サービス「カフネ」で働き、薫子も週に一度だけカフネを手伝うことに。せつなと共に働きながら、薫は弟について知らなかったことを知っていく。

家事代行サービスでは薫子は掃除を、せつなは料理を担当する。
薫子が働く一日は、日々の生活で手一杯で自分からは助けを求めることが出来ない人たちのための一日だ。誰かが作ってくれる食事があるということだけで、ほんのひととき気持ちが解放される。
薫子も離婚、死別と続き悲嘆にくれているのに、誰かに助けてと言えない。そんなときにせつなの作ってくれる食事は薫子の心を少しずつ解きほぐしてくれる。
せつなにも薫子にはあえて言わないことがあった。
薫子とせつなが訪れる家庭で交わされる言葉や二人の背景、春彦の思いに心が動かされて中盤からずっと泣きながら読んでいた。

食事は大切だ。自分で作っても、誰かが作ってくれた食事でも、レトルトでもビタミン剤でも栄養は摂ることができる。
だが本を読むことでしか摂れない心の栄養がある。まさにこの本は心に栄養を与え、私の血肉となっていくだろう。

読ませていただきありがとうございました。

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ぼろぼろ泣いたり、嬉しくなったりしながら、あっという間に一読し、興奮冷めやらぬまま、この感想を綴っている。主人公の薫子さんと、せつなさんの、矜持の美しさ、強さ。春彦くんの限りない優しさ。公隆さんの誠実さ公正さ。それらが繊細な言葉選びとリズミカルな文章で、するすると私の中に入ってきた。明日またこの小説を読み返すのが楽しみだ。
 再読。冒頭の短い一行を繰り返し味わい、にまにましてしまった。
「死んだ弟の元恋人は、すでに十九分遅刻している。」
 十九分ですよ、十九分。二十分でも二十一分でもなく十九分。いかに主人公がいらいらしながら待ちくたびれているかが、手に取るようにわかるじゃありませんか。
 そして、せつなさんの作る料理の美味しそうなこと。玉ねぎのみじん切りとトマトとツナの、コンソメと豆乳の温かい素麺は、荒れて弱った心とからだに沁みわたるようだし、苺パフェはほんとうに魔法使いの仕業のよう。
 物語終盤で次々と明かされてゆく事柄は、前半でちらりと触れられていた糸をほどいたら新たな絵が現れてくる感じだった。

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こんかラストは予想もしていなかった。
最初は元婚約者と義姉のハチャメチャなやり取りに驚きながらも、ここまで言い合えたら気持ちいいだろうな。とまで思えた二人。
それがだんだん弟の本性が証されるにつれ変わっていく。
ミステリーさも感じられる不思議な物語。
真面目くさくて面倒臭い生き方も、損得無しに料理・掃除をする会社も、いい子で居続ける苦しさも、何もかも受け入れられてしまう。

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人にはそれぞれ表に出せない理由があって、そんなに意識はしていなくても、言えない訳や気遣いが誰でもあることを思い出した
自分の思いさえもしっかりわからないのに、人のことをさもわかっているかのように勝手に思い込んだ言動をしたりしてるのかなぁ
人を思いお料理をするせつなが、自分のことはあきらめたような言動をすることに寂しさを感じたけど、無理矢理にでも寄り添おうとする薫子さんがそばにいてくれることに希望を持てた
侍のような薫子さん、少し堅苦しい気はするがとても好きだ

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始めて読む作家さんでしたが、読みやすく、ゆっくりと流れていく中でも、途中、驚く出来事もあったり、人々の感情が伝わってきて、せつなくじんわりきました。

見えないところで、人それぞれ抱えてるものは、あるよな~
あまり気にせず、自分に正直に進むのが、1番なのかなと、思わせてくれました。

家事代行業で、お料理のシーンが、たくさん出てきて、卵味噌美味しそうで作ってみたくなりました!

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冒頭は常識人の薫子と人嫌いなせつなという構図かなと思ったら意外に早い段階で懐いてきた感じ。
途中で食欲を刺激した骨付き肉🍖。これがまさか後で知る事実の前振りとは…。

食べることは生きることとよく言うが正にそれを描いた作品。これに弱った人が助けてと言える人がいることの大切さがテーマかな。

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「おにぎりを作れるようになると人生の戦闘力が上がる」

主人公の薫子は不妊治療を経て夫と別れた41歳。
ひとまわり下の弟が突然亡くなり、弟の元恋人であるせつなが働く家事代行サービスに関わることに。

シスターフッドであり、家族の物語でもある。
上半期、あるいは2024年を代表するような一冊となると期待。

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突然亡くなった弟・春彦は遺言書を遺していた。姉の薫子は、相続人に指定されていた弟の元婚約者であるせつなに会うが、受け取りを拒否される。激しくやりあううちに薫子は瞬時意識を失い倒れてしまう。心配したせつなに自宅まで送ってもらうがそこは……。
タイトルのカフネは、せつなが勤める家事代行サービスの会社だ。この後、何故か週一だけボランティアで掃除をすることになった薫子は、料理担当のせつなと共に依頼者宅を訪問することになる。
よくありがちな1話完結の連作で、いろんなパターンの家庭像を描くのかと思いきや、軸はぶれない。そして連作形式でもなかった。読み進むにつれ、すごいものを読んでいるなという実感が湧いてきたが、この作家はさらに上を行く。些細なことだが感じた違和感は伏線で、きっちり回収される。偶然はない。お見事!
強いて難点を挙げるなら、登場人物たちが揃いも揃って問題を抱えていることか。しかもこれ以上ないほどに辛いのだ。でも、だからこそ、誰かの優しさが染みるのだ。生きる力となるのだ。
ぼくの中で本年度ベスト10入りは確実な良作だった。

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担当編集者さんのオススメ文を読み、リクエストしました。
食べることは生きること… まずはそこからだし結局はそれが大事なこと。
けれどもそれだけではない、しっかりと心に落ちてくるお話でした。
読みながら何度も何度も、主人公たちだけでなく、むしろ周りの人たちのことを考えました。
そうすれば何かがわかる、救われる気がして…
登場人物それぞれが、交わり、立ち止まり、そしてまた歩き出してく姿に、
勇気をもらえた気持ちです。 刊行したら是非購入したいと思います。

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子どもの頃、苦手なピーマンを克服するために毎日ピーマンを食べ、
ピーマン柄のパジャマを着て寝ていたほどの努力家の薫子
でも、努力ではどうにもならないこともあって…
夫と離婚し、大切な弟を突然失い、半ば自暴自棄になりながら
それでも仕事だけはきちんとこなしている
真面目で「めんどくさいといわれるタイプ」の薫子が
弟の遺言書を執行するために弟の元彼女で料理人のせつなと会うところから物語は始まります。
平気で遅刻して謝りもしない
もらう理由がないといって弟の遺産も受取を拒否する
そもそも、実家に挨拶に来た時から頑なで…
分かり合えないはずの二人は、しかしなぜか
せつなが働く家事代行サービスが取り組んでいるボランティア活動で
一緒に働くようになり、その距離を埋めていきます。
読み進めるうちに、それぞれの喪失の物語が明かされ
また、ボランティア先の人々の問題もいろいろあって
誰も、何も悪いことはしていないのに
なんで生きていくのってしんどいこと、苦しいことが多いんだろう、と
つらい気持ちになる部分もありますが
それでも、救いはあって
前を向いて進もうという気持ちにさせてくれる物語です。
この先のふたりが気になります。

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人とのつながりは、血の繋がりとか家族だからとかだけではない。
寧ろ、心を寄り添わせ、大切に想う血持ちが人とのつながりを強いものにしているのかもしれないと思いました。

主人公たちが家事代行サービスで訪れる家庭では、家族の在り方は本当に様々です。
これが正しいとか間違ってるとかはない。
明確な答えもない。
でも、支えあって助け合って、人は生きていくのだな…と。
すごく深く考える機会をもらった作品です。
ご飯も美味しそうでめちゃくちゃ魅力的でした!
ありがとうございました。

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春彦を軸に展開する物語。姉の薫子と元恋人のせつな。春彦の死をめぐる謎がふわっと根底にあり、読み進むほど思いがけない展開となっていく。奥行きのある物語でどんどん引き込まれていった。人間の多面性に驚かされ、人と人との繋がりの不思議を思う。物語の中で重要な役割を果たしているのは生活を整えるための手助け。食事と部屋の片付けと掃除だ。いろんな事情で生活がうまく回らない人たちのため、美味しい食事を作るシーンと部屋を綺麗にする場面が数多く出てくる。相手のために細やかな配慮が行き届いただ美味しそうな食べ物の数々。ぐしゃぐしゃな部屋が綺麗になっていく様子。本当にちょっとしたきっかけで生活は回らなくなる。でも、ちょっと手助けしてもらえたらまた生活を整えることもできるのだ。家族というつながりは強く、時には足枷になることもある。分類できないつながりこそ大切なことがあると感じた。私は『おせっかい』が苦手であるが、薫子やせつなのように自分の正しいと信じたことを大切にして、相手に伝えることは悪くないかもしれない‥と思いはじめた。コロナ禍を経て、少し距離が出来た人と人との繋がり。でも。やっぱり誰かと繋がって困った時には助け合って生きていきたい。そんな世の中になったらいい、と夢見ることができる作品だった。

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人は、自分だけがしあわせであればいいわけじゃなくて、誰かもしあわせで笑っていて欲しいものなのだ。
誰かの笑顔が誰かをきっとしあわせにしている。
やりきれないことも理不尽なことも、生きていれば山のようにあるけれど、どうか今日1日をなんとかやり過ごして、そうして繰り返していれば、いつか数十年に一度咲く花の姿を誰かと一緒に見ることもあるかもしれない。
一度はうちひしがれた薫子の不屈の精神に救われた物語でした。

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厳しい現実やつらい人間関係のことも描かれている。けれども、この物語の根底に温かい、人を大切に想う心を感じる。人はいつも本当の自分を探しているのかもしれない。薫子とせつな、そして春彦を通して、必死に本当の自分を探そうとしてしまう。今の自分でいいのか…他人に自分をさらけ出すのは怖い…そんな葛藤を薫子たちと一緒に考え、成長できる物語だと思う。そして、作中の出来事を曖昧にせず、真摯に全て書いてくれている文章に絶大な信頼を置きながら読み進めることができた。素敵な文章との出会いに感謝。

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